03.優し痛み



月曜日、ふとした瞬間に思い出したように感じる鈍い痛み。
自分の体が痛みそのものにすっかり慣れてしまったことを知る。
甘い言葉とか、丁寧な手つきとか、そういうものを連想させる優しい痛みに侵食されている。

享受するには衝撃的すぎるその事実を突きつける痛みに戸惑ったのは最初だけだった。
鈍い痛みが優しいことに気づいてしまったのはもう、最初からだったから。

なんでもないはずの月曜日が、少し特別な日曜日に連鎖して特別を帯びる。
優しくなる声色だとか、気遣う視線だとか、守ってくれているように感じる立ち位置とか。
月曜日に感じる、抜け出せない穏やかで温かくて泣きたくなるほど優しい空気。
気づかないうちに、息が止まるのではないかと不安になってしまう。

ほら、また。

こんなに居心地がいい、変哲もないひと特別な日の間、なんて日が。
紛れもない、特別になっていっているのだ。息が止まるのももう時間の問題。
だって、きっと、月曜日だけでとどまるはずがないのだ。
あの人が特別になってから、あの人と一緒にいるときが特別になってから。
あの人のことを考える時間が特別になってから。
どうせ、全ての日々が特別になってしまうのなんて時間の問題なのだから。



FIN